キュービクルが引き起こす「波及事故」をご存知ですか?

電力会社が管理供給する電気と異なり、直接電力会社と契約して高圧電力を自社・自施設に引き入れる高圧受電契約。安い電力を大量に使用できる素晴らしいメリットをもつ契約ですが、キュービクルなど高圧受電設備の管理・責任も負わないといけないデメリットがあることも覚えておいてください。キュービクルが引き起こす事故のなかで、もっとも恐ろしいのが「波及事故」です。

「波及事故」とはどんなものか

悲しいことに、電気が関係する事故で毎年数十人の尊い命が奪われています。この電気事故は、直接的な被害を受けるものと間接的に被害を及ぼす「波及事故」があります。漏電・感電による痛ましい事故も深刻ですが、キュービクルの故障などによって近隣施設や住宅に波及する「波及事故」も被害総額という面においては恐ろしいもの。たとえばキュービクルを発端として、近隣に停電をもたした場合。医療機関や企業運営だけでなく、交通信号や鉄道網といった交通インフラにまで影響が及ぶ可能性はゼロとは言い切れません。そうなった場合、被害金額は天文学的な数字になることが予想されます。このような悲惨で甚大な事故を防ぐために、法律でキュービクルの保守点検が義務付けられているのです。

キュービクルが関連する火災を防ぐには?

高圧電気が絡む火災の多くは、設備のメンテナス不足からくる機器不良です。その割合は60%にも上ります。しかしここでの機器不良は、電力会社の変電所・発電所も含んだ数字。こと、キュービクルを含む自家用電気工作物のケースに限れば、70%以上の電気火災の原因が設備不良という結果となります。

キュービクルを適切にメンテナンス

これらのデータからもわかるように、正しく適切なインターバルでメンテナンスを行うこと。それこそが、キュービクルを含む自家用電気工作物の火災を防ぐ、有効な手立てであるとわかります。

電気主任技術者にはメンテナンスを強制する権限はない

キュービクルは法律によって、電気主任技術者による定期メンテナンスが義務付けられています。ただ電気主任技術者には、老朽化したキュービクルの部品の交換や修理を、強制的に執行させる権限までは与えられていません。この事が、キュービクルの適切な部品交換やメンテナンスを妨げているのです。

電気火災が起こってからでは遅い

キュービクルの導入事業者が、メンテナンスや部品交換をおこたる大きな要因は、「費用」の問題に他なりません。しかしひとたびキュービクルを基軸とした火災が発生してしまうと、多大な被害が発生。途方もない賠償金の請求を求められる可能性もあります。このようなことにならないためにも、キュービクルの定期的なメンテナンスと、必要な部品交換は行わなければなりません。